家賃滞納が起きたらどうする?対応と予防の管理ノウハウ

運用戦略

はじめに──滞納は「予防」と「初動対応」で9割決まる

不動産投資における家賃滞納は、誰でも一度は直面し得るトラブルです。
ただし実際は、「起きてから慌てる」のではなく、事前準備と初動対応でほとんどが決まります。

今回は、私の管理経験をもとに、滞納発生時の対応フローと、そもそも滞納を防ぐための管理ノウハウを整理します。


① 滞納が発生したときの対応フロー

まず知っておきたいのは、家賃滞納が発生しても、すぐに入居者を退去させることはできないという現実です。
日本の賃貸借契約は借地借家法により入居者保護が非常に強く、オーナーの契約解除権は制限されています。

「滞納=即退去」ではなく、法的にも管理上も、慎重な手続きと時間が必要になる──これが滞納トラブルの重さです。


✅ 滞納が発生したら、まずやるべき3ステップ

1️⃣ 管理会社にすぐ連絡し、状況確認の打ち合わせをする
 - いつから滞納しているか
 - 既に連絡は取れているか

2️⃣ 保証会社に加入しているか確認する
 - 保証対象になるか
 - 保証会社が対応を開始しているか

3️⃣ 管理会社と連携しながら、記録を残して進める
 - 督促履歴は法的手続きの証拠になる
 - 連絡内容・書面の控えも残しておく


ここから先は、滞納の進行度合いに応じて対応を重ねていきます。


2週間〜1ヶ月経過:督促強化

  • 書面による正式な督促(普通郵便・簡易書留)
  • 督促履歴を積み重ねる

1〜2ヶ月経過:内容証明郵便の送付

  • 効果がなければ、1〜2ヶ月経過時に内容証明郵便を送付
  • 契約解除を見据えた証拠作り
  • 保証会社加入時は保証会社が送付するケースも

3ヶ月経過:契約解除・法的対応の検討

  • 契約解除通知を送付
  • 明渡請求の準備
  • 弁護士と相談のうえ、訴訟・強制執行へ進む

※法的には1ヶ月でも解除理由になりますが、実際の裁判では3ヶ月滞納が一定の目安とされています。


② 滞納を防ぐための入居者選びと管理のポイント

入居前の審査が最大の予防策

最も確実なのは、そもそも滞納しにくい人を入居させることです。
審査時に見るべきポイントは次の通り。

  • 収入水準・勤務先の安定性
  • 緊急連絡先の信頼性
  • 申込書の記載内容に不備・虚偽がないか

保証会社審査は事実上のフィルター

保証会社の審査に通らない入居希望者は、管理現場でも基本的に入居を見送ります。
否決された時点で滞納・トラブル発生率が高いと判断されているためです。

個人投資家も「保証会社否決=高リスク」と考えて間違いありません。

既存入居者は「取得時に現地調査+書類確認」でチェック

新規入居は保証会社の審査がありますが、既存入居者は購入前に自分でリスク確認が必要です。
現地調査と管理資料の精査は投資判断の重要なプロセスになります。

現地の確認ポイントはこちら

入居後も軽いモニタリングを続ける

契約後も放置ではなく、「今も問題なく住めているか?」を時々確認する意識が大切です。

  • 契約更新時に収入・勤務先・緊急連絡先の変化がないかをヒアリング
  • 郵便物の滞留・通知書の未開封が続いていないかを管理会社が確認
  • 連絡が取りにくくなっていないか(電話・メールが繋がるか)
  • 近隣クレームや騒音トラブルの発生有無も一つのサイン

特に**「連絡が取りづらくなる」ことが初期のリスクサイン**になるケースは多いため、
小さな変化を拾う姿勢が、長期安定運営につながります。


③ 保証会社活用時の注意点と管理のコツ

保証会社の利用は、プロの不動産運用会社ではほぼ必須です。

  • 滞納時に代位弁済が受けられる
  • オーナーの資金繰りが安定する
  • 督促や交渉も保証会社が担ってくれる

私自身も保証会社なしの契約で外国人テナントに逃げられ、原状回復費まで取りっぱぐれた経験があり、保証会社の重要性は痛感しています。


✅ 注意①:代位弁済には申請期限がある

代位弁済は自動ではなく、オーナー側(または管理会社側)が期限内に申請を行う必要があります。

私も新卒時代に申請を忘れかけて冷や汗をかいた経験があります。
管理会社任せにせず、オーナー自身でも進捗確認をしておくのが安心です。


✅ 注意②:保証範囲の内容も要確認

保証範囲は保証会社によって違います。

  • 家賃のみ保証
  • 家賃+訴訟・弁護士費用までカバー
  • 家賃+原状回復費用までカバー

保証範囲が広いほど保証料は高くなりますが、万が一のリスクに備えた設計が大切です。
自分の契約内容がどこまで保証されているか、必ず把握しておきましょう。

もちろん、保証会社も万能ではありませんが、滞納リスクを大きく軽減できる重要な仕組みです。


④ 滞納は「退去リスク」と「原状回復リスク」にもつながる

滞納が続けば、最終的に明渡しへ進む可能性も高まります。
保証会社がない場合は、原状回復費まで回収不能になるリスクも現実的に出てきます。

そのため、原状回復や修繕コストの目安を事前に把握しておくことも、安定運営には欠かせません。

主な工事費の目安はこちら →


おわりに──滞納トラブルは準備と初動でほぼ決まる

家賃滞納はゼロにはできません。
しかし、

  • 入居審査
  • 保証会社の適切利用
  • 早期の対応と確認
  • 日々の小さな管理の積み重ね

これらを整えておけば、多くの滞納リスクは深刻化せずに収まります。

不動産投資のストレスも大きく減らせます。


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それでは、またひみつ基地で!

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