物件資料の読み方-プロの頭の中をのぞいてみよう-

不動産購入のひみつ

不動産-会社から送られてくる「物件資料」。
住所・面積・築年数・利回りなど、さまざまな項目がズラリと並んでいて、
初心者には「専門用語だらけで、どこを見ればいいかわからない…」と感じてしまうことも多いでしょう。

しかし、実際にこの資料を見た不動産のプロの頭の中では、
瞬時に“収益性・リスク・融資可能性・将来価値”といった情報が組み立てられています。
この記事では、物件資料を前にしたときに不動産のプロがどんな目線で読み解いているかを、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。


1. 住所──どんな場所か、価値とリスクを見る

物件の住所を見た瞬間に、プロは立地のポテンシャルを読み解きます。

  • 駅の格:そのエリアの主要駅なのか、急行が停まるのか、通勤に便利か。駅の力=資産価値に直結します。
  • 駅からの距離:当然近いほうがいいですが、道のりも重要です。信号や坂道有無、夜道が暗い、交通量が多すぎるなどもストリートビューなどで確認。
  • 道路付け:物件が面している道路の幅や方角。再建築の可否や、将来売却するときの流動性に大きく影響します。
  • 周辺環境:学生街かファミリー層向けか、飲食店が多いかなどによって、物件の間取りとの相性を確認します。
  • ハザードマップ:洪水・土砂災害・地震の揺れやすさを地図で確認。需要がある立地でも災害リスクが高ければ評価を再考する必要があります。

2. 土地面積──融資と将来の出口に関わる数字

土地の面積だけでもいろんな考えが頭を巡ります。

  • 積算評価の基礎:銀行が不動産を評価する際のベースになる考え方です。同じ利回りなら面積が広く、整形で接道も良いほうが融資も利用しやすく流動性も上がります。
  • 再販・開発時の使い勝手:更地にしたら何戸の戸建てが建てられるか、土地の分筆が可能かなど、将来の出口戦略もここから逆算します。
  • 建ぺい率・容積率との関係:どれだけの建物が建てられるか、また建っている建物が違法でないかもここでわかります。

3. 構造──融資年数と耐久性に直結する要素

物件資料には「構造:RC」「木造」などと記載されていますが、この一言に多くの意味が詰まっています。

  • RC造(鉄筋コンクリート造):耐久性・防音性に優れ、法定耐用年数は47年。
  • S造(鉄骨造):鉄の骨組みで支える構造。耐用年数は34年。
  • 木造:主に戸建や小規模アパートに使われ、法定耐用年数は22年。

構造は、以下のような影響を与えます:

  • 融資可能期間:銀行は法定耐用年数以内の期間しか融資しないケースが多い。
  • 修繕や解体のコスト:構造によって修繕や解体の費用も変わります。
  • 入居者ニーズ:防音性を求める層にはRCが好まれるなど、需要にも影響します。

4. 築年数──耐震と融資と修繕のタイミングを見る

築年数は、価格や見た目だけでなく「耐震性」「融資」「修繕コスト」に大きく関わります。

  • 新耐震基準かどうか:1981年6月以降の建築確認であれば「新耐震基準」。それ以前は「旧耐震」とされ、融資や保険で不利になることも。
  • 融資年数との兼ね合い:築30年の木造は、あと10年しか法定耐用年数が残っていない=融資期間が短くなる。
  • 修繕のタイミング:築20〜30年で屋上防水や給排水管の更新など高額修繕が発生することが多い。

5. 賃料単価──高すぎ?安すぎ?相場と比べて考える

「月額家賃〇万円」と書かれていても、その数字の裏を読むことが重要です。

  • 高すぎる家賃:利回りをよく見せるために高く設定されている可能性も。相場とズレていないか?
  • 安すぎる家賃:改善余地があるかもしれないが、入居者の属性や建物のクセを疑う。
  • 成長余地があるか:周辺の再開発などで家賃が上がる可能性はあるか?

6. 利回り──まずは表面で比較して違和感を探す

  • 表面利回りとは:家賃収入÷物件価格。まずはざっくり“収益の大きさ”を見比べるために使う。実務でも比較の起点はここ。
  • 実質利回りを想像する:管理費・修繕費・空室率などを加味して、脳内で“引き算”して調整する。
  • 他物件との比較:エリア・築年数・構造が近い物件と比べて違和感がないか考える。

7. コスト──意図的に削られていないかを疑う

物件資料に記載されるコスト情報は、都合よく調整されていることがあります。

  • 管理費や修繕費が妙に安い:利回りをよく見せたいがために、実態に合わない低い金額で記載されているケースも。
  • 水道光熱費やPM費用、広告料なども想定されているか?:資料に書かれていなくても、実務的には必要なコストを頭の中で足しておく。
  • 収支シミュレーションの前提として妥当か?:プロは「実際に運用するならこのぐらいかかる」と脳内で補正しながら利回りを見る。

8. 遵法性──検査済証や外観の怪しさをチェックする

プロは、物件写真と図面を見て「ちょっと変だな?」という違和感を重視します。

  • 検査済証の有無:検査済証がない時点で建築基準法上の手続きに不備があり、金融機関の融資でもマイナス評価になります。
  • 増築・違法建築の兆候:屋上に妙に大きなペントハウスが乗っている、庇(ひさし)が後付けっぽいなど、写真の“見た目”にも注意。

おわりに

物件資料は、ただの“チラシ”ではありません。 そこには「立地」「建物の質」「収益性」「将来性」「法的リスク」など、あらゆる判断材料が詰まっています。

不動産のプロは、限られたこの一枚から、まるで探偵のように事実を読み解き、「これは買える物件か?」「改善できるポイントはあるか?」「将来価値はどうか?」を瞬時に判断しています。

今回ご紹介した視点を少しでも取り入れていただければ、あなたの物件選びの精度は確実にアップします。

ぜひ一度、手元にある物件資料(マイソク)を見返してみてください。今日からあなたの目は、もう初心者ではありません。


不動産に関するご相談・ご質問は、お気軽にこちらのフォームからどうぞ。

では、またひみつ基地で!

コメント

タイトルとURLをコピーしました