現地調査で9割決まる「確認ポイント」

取得戦略

不動産投資において、最も重要なのは「現場」です。
どれだけエクセル上で利回りが良く見えても、現地に致命的な問題があれば、経験豊富なプロは絶対に手を出しません。

逆に言えば、現場さえしっかり見られれば、大きな失敗は防げます。
今回は、誰でもすぐに使える「現地調査のチェックリスト」をご紹介します。


1. 管理状態のチェック──建物の日常を読む

まず目を向けるべきは、建物の「空気感」と「日常の表情」です。

  • ゴミ置き場が清潔か
  • 掲示板に過激な注意文がないか
  • ペットの鳴き声が響いていないか
  • 廊下や階段に私物が溢れていないか
  • 郵便受けにチラシや郵便物がパンパンに詰まっていないか
  • 外観にヒビや汚れがないか、植栽が伸び放題になっていないか
  • 雑草や放置された自転車・バイクが目立たないか

些細に見えても、これらは住民のモラルや管理会社の姿勢を反映しています。

ちなみに私も売主側として経験がありますが、まともな売主や仲介会社は内見前に建物をより良く見せるべく掃除をします。すなわち、ひと目見て乱れている物件というのは普段の管理や売主側の管理姿勢が現れているものです。

引用元:みうたんままのブログ

こういう香ばしい注書きが多いマンションは要注意。
私は、「エレベーターでうんこするな!」という張り紙を見たことがあります・・・


2. 共用部と屋上のチェック──「建物全体」が投資対象

内見では専有部ばかりに目が行きがちですが、プロは「建物全体」を見ます。

  • 屋上に上がれるよう、事前に依頼しておく
  • 機械室や受水槽など、建物の心臓部も確認
  • 外壁や階段のクラック、排水の詰まり、錆などをチェック
  • 漏水の染みがないかを確認

見えにくい部分にこそ、将来的な修繕費リスクが潜んでいます。

晴れの日なのにずっと残る水の跡や防水シートのヨレ・ワレに注意。

株式会社 さくら事務所

共用廊下に漏水の跡が発見される場合も。
売主に補修をお願いできるとベターですが、叶わない場合が補修金額を事前に見積もっておきましょう。

引用元:株式会社関西建物センター


3. 境界の確認──トラブルの種を未然に断つ

見落としがちですが、最もトラブルになりやすいのが「境界」です。

  • 境界標(杭など)が現地に存在するか
  • 境界確認書が揃っているか

境界が未確定だと、将来的に隣地所有者との紛争リスクが残ります。
できる限り、売主側で境界確定を済ませてもらってから購入しましょう。

引用元:高橋調査設計株式会社

普段の生活であまり意識することはないと思いますが、土地の各角にはこのような境界の印があります。
現地で確認して見つけられなければ仲介会社に聞いてみてください。(不動産売買の重要論点なのですが、未熟な仲介担当者は境界への意識が低かったりします。)


4. 管理会社へのヒアリング──現場の「生の声」を聞く

現地での最大の情報源は「管理会社」です。

  • 内見時には必ず管理会社を同席させる
  • 管理上のトラブルが過去にあったかを聞く
  • 住民の年齢層や雰囲気、勤務先(把握していれば)も確認

数字では見えないリアルな「人間関係」や「空気感」は、管理会社に聞くのが一番。

どんな人が住んでいるかはリーシング戦略を考えるうえでも重要な情報です。

ちなみに不動産鑑定士が物件評価をする際にも管理会社へのヒアリングは非常に大切にしています。


5. 周辺環境のチェック──「物件」だけではなく「街」を見る

建物が良くても、街に魅力がなければ入居者はつきません。

  • 駅やバス停からの道のり(実際に歩いて体感)
  • スーパー、コンビニ、学校、病院などの生活施設
  • 夜の雰囲気(街灯の明るさ、不審者の出没など)
  • 嫌悪施設(風俗、パチンコ、騒音工場)が近くにないか
  • 街を歩く人の層(高齢者、子連れ、外国人、若者など)

「この街に住みたいか?」を自問してください。


6. 音と匂いのチェック──五感で感じる違和感

数字にも写真にも出てこない、意外な落とし穴が「音」と「匂い」です。

  • 幹線道路や線路の走行音
  • 近隣飲食店や下水の臭い
  • 隣人の生活音や騒音
  • 湿気やカビ臭(空室の場合は特に)

「ここに自分が住めるか?」という視点で、耳と鼻を研ぎ澄ませましょう。


7. 通電・通水チェック──設備の健康診断

内見時に通電・通水が可能であれば、ぜひチェックしておきましょう。

  • 水を流して水圧や排水の状態を確認(詰まりや臭いも)
  • エアコンや照明、換気扇などの動作確認
  • 給湯器や電気系統の異常有無

長期空室だった物件では、不具合の有無を確認する絶好のチャンスです。


最後に──「現地を見ることは最大のリスクヘッジ」

不動産は机上の空論では動きません。現場を見て、空気を吸い、人の流れを感じること。
それが、机の上では絶対にわからない「違和感」や「兆し」を察知する力につながります。

不動産投資は、感覚と情報の総合格闘技です。
書類だけでは見抜けない「違和感」に気づけるか──その直感は、現地に足を運んだ者だけが得られる報酬です。

それでは、またひみつ基地で!

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