突然ですが──
「エアコン壊れたんだけど!」「給湯器が使えません」
こんな連絡が入ったとき、即座に「交換費用は◯万円くらい」「在庫のある機種で対応できる」と判断できますか?
不動産投資の運用フェーズにおいて、工事の相場観を持っているかどうかは、オーナーとしての実力を左右します。特に、原状回復やトラブル対応の場面では、その場で意思決定できる力が入居者満足度にも、収益にも直結します。
今回は、現場で実際によく使われる「主要工事の目安単価」とその判断ポイントを一気にご紹介します。
ガス給湯器交換|15万円〜
給湯器は、おおむね10年を過ぎると突然壊れる──これ、運用者の常識です。
壊れると「お湯が出ない=お風呂に入れない」。入居者にとっては死活問題。放置すれば退去や家賃交渉に直結します。
- 標準タイプ:15万〜 ※数年前は10万円くらいでできたんですが。。。
- 浴室乾燥・床暖房付き:+5〜10万円
エアコン交換|8〜20万円
真夏にエアコンが壊れたら? クレームどころか、退去一直線です。
10年を超えたエアコンは冷えが悪く、電気代も高め。原状回復のタイミングで先回りして交換するのが理想。
- 単身向け(6〜10畳):8万〜12万円
- ファミリー向け(LDKなど):12万〜20万円
現地調査の際にエアコンの「製造年」を確認しておくと、交換タイミングの判断が非常にスムーズです。

→ 現地調査でチェックすべきポイントはこちらの記事でまとめています。
屋上防水工事|8,000〜12,000円/㎡
築15年を超えたら、屋上の防水層はそろそろ限界です。
でも実際は、20年放置の物件もザラ。雨漏りが起きてからでは手遅れになることも。
- ウレタン防水目安:8,000〜12,000円/㎡
ざっくりした面積の目安
- ワンルームマンション(3階建・1フロア4戸):屋上 約60〜80㎡
- 中規模マンション(5階建・ワンフロア6戸):屋上 約100〜150㎡
建物形状や共用部によって差はありますが、概算としてこのくらいを想定しておくと、費用感をつかみやすくなります。
室内クリーニング|1.5〜4万円
原状回復で必ず発生。内見時の印象は清潔感が9割です。
- 1R・1K:1.5万〜2.5万円
- 1LDK〜2DK:2万〜4万円
- 浴室鏡ウロコ落とし:上記に追加3,500〜4,500円
なお近年は、クリーニング費用を賃貸借契約上でテナント負担とするのが主流です。特に築浅物件では、契約時に2〜5万円程度を請求する形が定着しており、オーナー側の実質負担はゼロというケースも増えています。
クロス張替え|800〜1,500円/㎡
クロスは住まいの表情そのもの。たとえ破れていなくても、古さや臭いで印象は激変。
- スタンダード:800〜1,100円/㎡(量産ビニールクロス)
- ハイグレード:1,000〜1,500円/㎡(防臭・抗菌・耐久性重視)
- 張替え目安:3〜5年
※クロスの単価は「床面積」ではなく、実際に施工する「壁の面積(施工面積)」に対するものです。
ざっくりした面積の目安
- 6畳の部屋:壁面積 約30〜35㎡(クロス)
- 天井クロスも張り替える場合:+10㎡程度
- 1K全体(トイレ・廊下含む):40〜50㎡程度
このように、部屋の床面積だけでなく「貼る面」の広さで費用が決まる点に注意しましょう。

フローリング張替え|10〜20万円(6畳)
傷んだ床は物件全体の印象を悪くします。賃貸では「上貼り」で対応することも多いですが、根本的に直すなら全面張替え。
- 6畳間:10万〜20万円
- 張替え目安:10〜15年
その他、頻出の修繕と目安単価一覧
工事項目 | 費用目安 | 備考 |
網戸交換 | 5,000〜12,000円/枚 | 内見時の印象にも影響 |
ドア建具修繕 | 5,000〜15,000円 | ドアクローザー・蝶番など |
水栓交換 | 15,000〜30,000円 | キッチン・洗面台など |
シャワーヘッド交換 | 2,000〜8,000円 | デザインや節水機能付きも |
シーリング打ち替え | 1,000〜1,500円/m | 外壁や浴室まわりの防水 |
インターホンのモニター交換 | 2万〜5万円 (モニター付きインターホン自体を新設する場合は数十万円) | 女性入居者に好印象 |
LED照明(1基) | 8,000〜15,000円 | 電気代4〜5割削減、寿命40,000時間、虫が寄りにくい |

シーリングってこれのことです。これが劣化してくると、カビ・漏水の原因になります。
最後に:単価を知っているだけで、運用は一歩先へ
「見積もりが出てから調べる」のでは、常に一歩遅れます。
単価を知っていれば、トラブル時も冷静に判断できる。さらに、業者との交渉にも強くなる。物件の価値を守り、入居者満足を上げるために、ぜひこの感覚を持っておきましょう。
この記事が、あなたの物件運用の助けになれば幸いです。 「こういうケースはどう判断すべき?」など、ご質問・ご相談があればお気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。不動産の現場に根ざした視点で、全力でお応えします。
それでは、またひみつ基地で!
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